野生動物達の痕跡を辿りながら自然を楽しむ山~後蔵~(山梨)

327 後蔵{ウシロクラ}(1290m)

県=山梨・白州   

同行者=長沢さん、坂本さん

登山日:2004年2月中旬

※本記事は、「山の本」に掲載されたことがございます。


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 山梨県最南端の貫ヶ岳に登り、その夜ロッジ山旅(八ヶ岳南麓大泉高原)にお世話になった。夕食時、オーナーの長沢さんから静かな山旅に誘われた。それは、白州町の戸屋山の北西に位置する1277m峰から延びる尾根にある、無名峰にちかい「後蔵うしろくら」というピーク(1290m)であった。

 長沢さんはこの山は以前から気になっていたといい、未知の山に憧れている私はふたつ返事で同行させて頂くことにした。長沢さんの友人の坂本さんも同行することになった。選んだルートは登り口と下山口が離れているため二台の車に分乗して出発した。一台を下山用に白州塩沢温泉に駐め、もう一台を登山口である釜無川左岸の旧国界橋のたもとに駐車した。ここには707.4mの三角点が有る筈だが、建設廃材が積まれていて確認できなかった。

 まず、目指すのは1095.3mの三角点峰である。林に一歩踏み入ると、山道が有り、杉木立の中に山の神が祀られていた。山の神様に登山の安全を祈願して、送電鉄塔「天竜東線105」への巡視路を辿る。踏跡程度の道を直登すると、間もなく分岐が有り、105号への道へ入る。30分程で派生尾根の上に建つ鉄塔に着いた。ここで一息する。

 

入山口の山の神

 鉄塔からは本格的な登りになり、この尾根の最高地点である三角点峰を目指して直登する。なにやらの境界を示す杭が沢山あり、樹木の肌も美しい明るい尾根である。

雪田を行く
八ヶ岳を望む

 すると、カンバの幹に真新しい数本の獣の爪痕がついていた。あわてて収納したままだった熊除けの鈴をザックに取り付ける。暫くして斜度が緩むと、白樺林の残雪帯に変わった。積雪は10cm程度で歩行には全く支障ない。なおも登ると、熊の糞が落ちていて、みんな興奮状態を隠せなかったが、よくよく見ると硬くて古いものだった。もっとも、この時期、彼らは冬眠中の筈であり、それに気付いて一同大笑いしたのである。

 やがて稜線がなだらなになると、明るい林の突端に四等三角点「除け山」の標石があった。見上げると1209m峰から戸屋山へ続く尾根が緩やかに延びている。一旦急降下して鞍部に下ると、次は1209峰を目指してザレの急斜面の登りになる。幸いホールドに樹木が利用できるので、脚力よりも腕力で登る。すると突然林道に飛び出した。しかし、荒れていて崩落も激しく廃道状態であった、この林道を下れば平久保池に出るのだが、長沢さんが1209m峰に天狗岩が有ると言う。山村正光氏の『中央本線各駅登山』に記されているそうだ。そこで、興味本位に3人で平坦な山頂を探し回ったが結局見つけられなかった。

 天狗岩探しを断念して、石屑のガレ場を下り、平久保池に降り立った。池は全面凍結していて未だに静寂の中にあった。

 昼までに1290m峰へ着きたいと、急ぐことにした。ノイバラの急斜面に取付き、錆びた有刺鉄線の棚を潜り抜ける。斜度が緩むと雪田の中にそこだけ落葉が現われほっとする場所があった。ここで昼食をとり休憩をする。

 充分な休憩が終わり出発すると、1290m峰までは緩やかなアップダウン続きの尾根であった。積雪は20cm程度で獣の足跡が縦横に走り、ハンターだろうか人の足跡もついている。気持ちのいい雪田歩きが続いた。カラマツの幹にはキツツキが餌を求めた真新しい数個の穴があいている。その先のヤシャブらしき老木に巣穴もあり、この一帯は野生動物や植物の楽園なのだと感動した。

 雪に覆われた稜線は、落葉樹と灌木と松の古木の混成林で、その中を爽快な気分で歩いていると、いつの間にか1290m峰、すなわち「後蔵」の山頂に着いていた。山頂の達成感はいま一つであるが、赤く塗られた標柱が建つのみの山頂は霜枯れした雑木林が広がり、そこに佇んでいるだけで、自分もここの自然の一員になった様に思えるのであった。

1290峰

 ようやく辿り着いた心地よい後蔵の山頂を辞して下山にかかる。やがてハンターらしき足跡も消え、広い稜線(迷い平と命名)を抜けると、その先は透けていた。ここで、白州塩沢温泉へ下る尾根の上部の1248m峰のピークを確認し、進路を北北西に90度変更して、暖かい陽射しを浴びながら緩やかな斜面を下ると、思いもしなかった廃道同然の林道の広場に出た。そこから僅かに急登すると1248m峰に出た。白州塩沢温泉へ下る尾根の944m峰には送電鉄塔が建っているので、これを確認しておく。1200mまで下った処で、今度は進路を北にとる。此の辺りは下りに続く下りである。雪がなくなったところで944m峰に着いた。ここは視界が開け、眼前に八ヶ岳から蓼科、遠く北アルプスまでの素晴らしい眺めが堪能できた。

迷い平 ~地図で確認中~
蓼科山

 944m峰から尚も下り、小尾根を二回乗り換えて、大きな岩の上に神出神社と刻まれた祠が建つ白州塩沢温泉の真裏に飛び出した。坂本さんのご好意で駐車させて頂き、フォッサ・マグナの湯に浸かり、豊かな気分になって帰途についたのであった。

登った後蔵を振り返る

 行程も手頃で、また何よりも登り口の山の神の数本のスギ以外は全て気持ちの良い自然林であった。その上、いい香りの湯船付きだったのだから…

【補足】
後日、坂本さんが調査された文献によると、大武川の古老は、
ここは「後蔵」山域を「峰割」と呼ぶとの事だった。

Kanapi
Kanapi

*編集者からのひとこと*
1月12日は「スキーの日」です。
スポーツ用品メーカー・ミズノの直営店・エスポートミズノが1994(平成6)年に制定。1911(明治44)年のこの日、オーストリアのレルヒ少佐が新潟県の高田陸軍歩兵聯隊の青年将校にスキーの指導を行い、日本人が初めてスキーを行った。
今日は何の日 毎日が記念日より引用

今日は関東でも雪予報がでていましたが、都心は雨でしたね。夜も冷え込みが厳しいので、我が家では昔ながらの湯たんぽを愛用しております!冷え込み厳しい日が続きますが、温かくして、お身体を大切にお過ごしください。


 

 
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