更新日:令和3年10月31日|体力★★☆☆☆・展望★★★☆☆・静けさ★★★★☆・技術★☆☆☆☆ ・危険度★★☆☆☆|前回の続きで今回は2~3日目についてまとめております。ブナ好きおじいさんには天国?600haの緑豊かなブナ林で森林浴や、近くの渓流で酒の肴も。新緑や紅葉、湿原の植物観察も魅力です。
◆都道府県:群馬県・栃木県
◆同行者:田中さん
◆登山日:2015年10月13日~15日
早朝六時に起床、雨は既にやんでいた。
焚火は、昨夜の雨にも拘わらず熾火があり、湯を沸かしてコーヒーを入れる。
パン、ヨーグルト、りんごで朝食を簡単に済ませ、
今日の目的地である田代湿原から牛首山への登山口に向かった。
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こもれ日駐車場には既に2台の車が止めてあり、田代湿原へ先行者がいるらしい。
それともキノコ狩りの人だろうかと思いながら歩き出した。
この山域は多くのツキノワグマが生息している。
出掛けに造った鈴は風鈴を改造したもので高音の為に、
かなりの距離まで到達するのでよかった。
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この道は「こもれ日の道」と言うだけあって落葉した枝の隙間から心地よく陽が差し込む山道は、
高度を稼いで行くと汗ばんだ頃に、広い平坦なところに出た。
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先には草紅葉の田代湿原が大きく広がっていた。ベンチには夫婦連れが休んでいた。
先の案内板には初夏にはリュウキンカやヒメカイウが見事に咲き誇るとあった。
ここの朽ち果てたベンチが古の人々の息吹の記憶が、奇異な自然風景と共に横たわっていた。
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湿原に数歩足を踏み入れるとずぶりと沈み、幾千年もの間に降り積もった植物の残骸で形成されていた。
あたりでは落ち葉が、からからと音を立てて舞う、新しいベンチで一服入れ、
秋の日溜りは心地よく、無添加の英気を一身に吸う。
梢ではホシガラスがギャーギャーと独特の鳴き声を発して我々を歓迎している。
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ここで冬装備を脱ぎ、軽装になって道標に従い武尊山登山道へと歩を進めた。
よく整備された幅広の山道は気持ちよい。
燻銀に光り輝く木肌のダケカンバの大木が目立つ様になり、
雪の重みでまれ稀に捻くれたカンバも見受けられる。
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広い山稜を南にとり、ブナやミズナラ、ダケカンバの大木が疎らに生えた
爪先上りの笹原を緩やかに登って行く。
雪深い山域でも大木の中には祭礼で使われる幟旗竿のように、
真っ直ぐに光を求めて遥か高くまで、その先端の枝を伸ばしているのもある。
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清々しい歩き易い広い山道を進んで行くと、大木のブナが道を塞ぐように横倒しになっていた。
朽ち果てた幹にはブナハリタケやヒラタケが整然と生えていた。
キノコは下山時に頂戴することにして、この倒木を乗り越える。
明るく広い曲折と、段差のない山稜を緩やかに南に歩を進め、
路の傍らに古びた道標{武尊山⇔田代湿原}があった。
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こちら側から上州武尊山へ登る山家は、長丁場である。
選択する人は少ないだろうが、よく手入れの行き届いた登山道である。
眺望は利かないが、辺りの木々の景色が、淡い陽射しの中に刻々と変化して頼もしい。
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目標とした未知の牛首山への突入口は、そろそろ右側に見えるはずだが、
日本大学山岳部の赤テープは左側にあった。
湿原から2kmほど登った地形から見ると、此の辺りから突入するのだろう。
ただ、人の背丈以上の笹薮に覆われ、ここから約700mの藪漕ぎは
体力の消耗が激しすぎるので、思案した末に牛首山は諦めた。
(本で観た群馬の爺は、どの辺から突入したのだろうか?)
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仕方ないので更に高見へと歩を進め、長いアプローチを抜ける。
情景は一変し、濃紺の神秘的な森が現れた。
栂やモミの針葉樹の大木が林立し、秋らしい快い陽の光が隈なく差し込まれ、
その半面を照らされて押し黙っていた。
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枝を落とした天を突く大木には、キツツキが餌を求めて数十個の穴を開けていた。
針葉樹林帯だが生育を終えた古木の林床は、陽が差し込み世代交代を計られていた。
ここで湯を沸かし、コーヒーと紅茶を飲みながら昼食をとった。
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しばしの森林浴と休息の後、重い腰を上げて下山に掛かった。
藪漕ぎを抜けだした後に、背負っていた草刈鎌を落としてしまった。探すのも面倒なので先に進む。
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下りは登ってきた風景とまた一味違って、山稜を見渡しながら解放感に浸る。
対峙する笠ヶ岳を枝越しに望み、真っ赤に熟れたナナカマドの実やブナハリタケ、
ヒラタケをゲットして、田代湿原に降り立った。
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ベンチで一息入れて、再び下りに掛かる。
広い尾根の一角は風の通り道で、谷から吹き上げる風が清々しい。
静寂の森の中に人の話声が響いていると思ったら、10人ほどが湿原を目指して登ってきた。
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しばらくジグザグに下って、今朝車を止めた駐車場に降り立った。
丁度キノコ採りの人が居合わせ我々がゲットしたキノコを鑑定して頂くと、
「美味しいですよ」とのこと。有り難いことに食べ方まで教えて頂いた。
周遊道を半周して坤六峠に向かう途中、今登ってきた山域を望めるポイントで、
我々の山靴の足跡を辿って、「あの針葉樹帯まで登って来たのだ」「かなり登ったなー」と振り返る。
あの山域に登って、初めて味わえた醍醐味である。
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まだ陽も高いので峠に進んで行く。
枝越しには、上州武尊山の剣ヶ峰が連脈の上に鋭い突起の頭を擡げていた。
坤六峠から眺める笠ヶ岳や至仏山は、冬の訪れを待つように朽葉色になっている。
数日前はどんなに美しい山肌だったかと偲ばせる風景で、
この澄明な空が広がるから凛々しい姿であろう。傍の笹は夜露にしっとりと濡れていた。
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再びキャンプ地に戻り、慌ただしく焚火と炊事の準備に取り掛かる。
今夜の献立は、、、
・牛肉の串焼き
・ジャガイモチーズ焼き
・野菜のバター炒め
・お酒(ビール、清酒、焼酎)
飲むほどに酔うほどに陽は暮れて、夕闇迫る頃に今日の山行を振り返る。
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踏み跡も無い藪漕ぎを強いられる牛首山。
一抹の不安はあったが、行けば何とかなるだろうと思っていた。
未知の山の出会いに期待を膨らませたが、気力だけが逸っていたのだ。
現在の我々の体力では、あのだだ広い山稜の密藪は、
精度の高いGPSを持ち合わせなければ、到底無理で撤退した事が正解だろう。
勿論、三角点標石は探し当らないだろうと振り返った。
空を仰げば、満点の星空が広がっており、時折り流れ星が一線の筋を引いていた。
北海道の伏美岳や北アルプスの大天井岳で仰いだ以来の綺麗な星空だ。
キャンプ場には、我々の他に2張のテントがあったが話声も聞こえない。
各々一人でキャンプを楽しんでいるようだ。焚火の燃える音だけが静かに響いていた。
今夜は、放射冷却でかなり冷え込むことが予想される。
足と腰にカイロを入れてシェラフに潜った。
夜半に辺りでガサ・ゴソと音がする、焼き肉の匂いを嗅ぎつけて熊さんの到来か?と心沈めていたが、
ゴミや匂いのする物は全て車に積み込んであると思い起こし、また眠りに就いた。
目を覚ますと、谷の空がバラ色に燃え始めている。
葉の落ちた広葉樹の梢を伝わって明るい光が薄暗い林に広がり、焚火の紫煙が麓へ下って行く。
昨日と同様の朝食を済ませ、焚火の残り火を始末し、テントを撤収する。
装備を車に積み込み、2日間に渡るテント泊を満喫して、次の訪問地の奥鬼怒へと向かった。
坤六峠を越え、片品村から金精峠を抜ける。
素晴らしい針葉樹とダケカンバが織りなす、モザイク模様の温泉ヶ岳の稜線を眺め、一服してから戦場ヶ原へと下った。
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ここからまだ入ったことのない光徳牧場から、再び紅葉に染まった山王帽子山の裾を通る。
黄葉した落葉松林を眺めながら、山王林道の最高点に達すると、展望台があった。
展望台からは、以前に登った台倉高山から帝釈山への稜線が綺麗に望めた。
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先に進み、錦秋の奥鬼怒に赤や黄色、橙、赤松やヒメコマツの緑を残した彩りは、
そそり立つ岸壁と相俟って、正に絶景である。
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川俣温泉まで降り、再び登り返して女夫淵温泉まで進んでみたが、
村営バス停の先は、一般車は通行禁止でゲートには管理人が監視していた。
ここから先は徒歩で、露天風呂のメッカである奥鬼怒四湯から奥鬼怒沼への遊歩道になっている。
時間的に先に進むためには、ここでもう一泊しなければならない。
予備日はとってあるが、「NHK小さな旅」に載った一乃屋民宿が見当たらない。
ゲートの管理人に聞いたら、ここから10kmほど下った平家高原民宿村の栗山の東照宮の前にあると教えて頂いた。
電話を掛けてみるがでない。
ナビで検索して伺ってみると、本に載っていたクニ子婆さんはお留守だった。
本の写真を見せると、「あら懐かしい。30年ほど前に撮ったものだ」という。
本日は休日で昼食も営んでいない。
泊まりは予約制で、既に金土日、正月明けまで満室との事だった。
最近ではドリフターズの加藤茶さんも来られ、そば打ち体験をしていったと写真を見せてくれた。
その他、新聞・雑誌に掲載されて料理が美味しいとの評判とのこと。
1泊3食付で8000円~で、特に川魚や山菜、キノコ、鹿刺が
真冬でもふんだんに美味しく食べられると案内された。
長閑な野門地区の高台にある「一乃屋」さんには、1回は泊まってみたい宿に感じた。
ここから、以前に登った三角峰の赤薙山が高く望めた。
この愉しかった幾日かの森や山に別れを告げ、未だ居残りたい気持ちを抑える。
一乃屋で教えて頂いた親戚のドライブインで、温かい珍しいイワナ蕎麦を食べて、
蛇王の滝を覗いて霧降高原の旧道を走り、東北高速道で帰路についた。
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*編集者からのひとこと*
10月31日は「ハロウィン」です。
キリスト教の聖人の祝日「万聖節」の前夜祭。
古代ヨーロッパの原住民ケルト族の収穫感謝祭がキリスト教に取り入れられ、現在のハロウィンになったとされている。ケルト族の1年の終わりは10月31日で、この夜は死者の霊が家族を訪ねたり、精霊や魔女が出てくると信じられていた。これらから身を守る為に仮面を被り、魔除けの焚火を焚いた。
これに因み、31日の夜、南瓜をくり貫いて作ったジャック・オー・ランタン(お化けカボチャ)に蝋燭を立て、魔女やお化けに仮装した子供達が「Trick or Treat(お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」と唱えて近くの家を1軒ずつ訪ねる。家庭では、カボチャの菓子を作り、子供達はもらったお菓子を持ち寄り、ハロウィン・パーティーを開いたりする。
~今日は何の日から引用~
本日はハロウィンですね。
この時期は期間限定メニューや、お菓子や雑貨などかわいいものが出るのが楽しみです♪
そういえば、大学生の時は、ジャック・オー・ランタン 作るイベントがあって、
何位かになった記憶がありますww では!