二ッ森(青森・秋田)

27 二ッ森(1086m){フタツモリ}

県=青森・秋田 白神山地  コーディネーター=佐々木昇氏

同行者=石井さん、田中さん、永峯さん

登山日:2004年5月4~6日

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Outdoor Style サンデーマウンテン

 

 日本山名総覧(武内正【著】)によると、全国で二ッ森と名の付く山は十八座ある。山名の由来は押し並べて単純に双耳(そうじ)(ほう)で、二つの森がこんもりとしているから名付けられたものだろう。白神山地の世界遺産地域の緩衝エリアに入り、核心地域の(ふち)でもあるので期待して早春の二ッ森を一泊二日で訪ねた。

 池袋から夜行バスで一路秋田に向かい、早朝に佐々木氏が待つ、二ッ井停車場に降り立った。ここで全員合流して佐々木氏の運転で県道63号とR101号を走り、峰浜村にある滝が御神体という白瀑に参拝して八森町に入った。真瀬川に架かる橋を渡って直ぐに旧青秋林道の起点が有り、これに入って行くと、自然遺産に相応(ふさわ)しくない名の「ぶなっこランド」という森林科学館を横目に真瀬川沿いの林道をくねくねと登って行く。

 しばらく登って三叉路の中ノ又林道と一ノ又林道を分け旧青秋林道を辿ると、ヘアピーンカーブの先に展望所があった。この先は(うずたか)く積もった残雪があり車では進めない。二ッ森駐車場には未だ1.5km程有るらしいが、キャンプ装備を詰込んだザック(60L)は重たいが、登山なので渋々背負って歩き出す。

 左のなだらかな斜面一帯は緑一色の膨大な秋田杉の造林地で、自然のブナ林とは程遠い光景だ。その背後に雪抱く真瀬岳と白神岳が望めて安堵する。

スギの造林地の奥に白神岳

 しばらく路肩に芽吹いたコゴミ(クサソテツ)やミズ(ウワバミソウ)など、佐々木氏から食べ方の説明を受けながら、やっとの思いで林道終点の二ッ森駐車場に辿り着いた。アスファルトで舗装された広い駐車場は、日当たりが良く残雪はなかった。

二ツ森駐車場に辿り着く

 雪解けの水が威勢よく沢に流れる音が山中に響く。いよいよ春の到来を告げる根開きの始まったブナ林へと足を踏み入れ、暫く進んで今夜の寝床である真新しいトイレ付の白神山地管理棟に到着した。人の背丈ほどある残雪に覆われた、冷蔵庫の様な管理棟で一夜を明かし、霧に閉ざされた行く手は幻想の世界で、皐月さつきと言え冬装備をまとい、サブザックに必要最小限の物を入れ身軽にして、リーダーの先導で山頂を目指して歩き出す。

白神山地管理棟 ここに投宿

 鞍部の残雪の先端には、今芽吹いたばかりの淡い黄色の瑞々(みずみず)しい(ふき)(とう)が顔を出していた。あたりは霧が山稜に向って急速に駆け上り、鼠色のベールに包まれている。周囲の山肌が下の方から少しずつ姿を現してくる。その森は衣を脱ぎ捨てた、沈黙の白い世界で灰色の樹形を()き出しにしていた。

淡い黄色の瑞々みずみずしい蕗ふきの薹
濃霧の中を行く

 残雪の上には踏み跡も無く目印のテープも無い斜面は、先導者が居なければ難儀する山稜だ。所々にクレパスがあり雪解けの沢音を発している。ここは慎重に歩を進め、やがて山頂直下の急坂を登り切ると、三等三角点標石と小さな祠のある二ッ森の頂に飛び出した。

クレパスあり
二ッ森山頂にて記念撮影

 笹と灌木の頂は日本海から渡ってくる季節風に(あお)られ雪はついていない。生憎(あいにく)ガスに閉ざされた山頂からは、一体どんな風景が隠れているのだろうと、心弾ませて待ち続けたが、白神山地の山々や津軽の名峰 岩木山など遠望出来なかったのが残念だった。下山は往路を慎重に戻り、移動するガスの晴れ間から白神の山々が望めるようになり、ブナ原生林と相俟って満ち足りて下山した。

白神岳
向白神岳
ブナ林に霧がかかり幻想的に見える
幻想的な世界でブナの根開きを見つける
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