インド|初めての海外登山ヒマラヤへ④


更新日:令和3年7月17日|初めてのインド「ヒマヤラ紀行」を数回に分けてご紹介いたします。今回はゴーソン⇒クララ⇒クアリ峠編となります。高木石楠花(シャクナゲ)が咲き誇っており、ハヌマンラングールというサルにも見かけ、ヒンドゥーの祠、ピンクのハクサンチドリにも出会え、ナンダ・デビィかナンダ・コートの純白な穂先がチョコンと拝むことができた山旅となっております。


ガルワールヒマラヤ紀行④ 

◆都市:インド:ガルワールヒマラヤ紀行
◆登山日:2008年6月4日~19日
◆同行者=石井さん・田中さん・鈴木さん

ゴーソン⇒クララ⇒クアリ峠(4268m)

 

早朝からカッコウの鳴き声に起こされた。
ポニー達は夜間に離され、自由気ままに美味しい草を求め、
かなりの距離を移動するらしい。

馬子がポニーを探しに行って帰りが遅い。
暫し草原を歩き、赤や白・黄や紫の原色の花々が咲き誇っているのを、
カメラに収めていたら馬子が仔馬を連れて戻ってきた。

今日も高曇りでパッとしないが出発する。
清々しいブギャルの中を尾根伝いに暫く足元には牛の頭の骨が転がっていた。
このような光景を見るのも初めてで、随分と文明の世界から遠ざかった感じがした。

やがてケルン(積石)が有り、チトラカンタ(Thitranha)という見晴台であったが、
ナンダ・デヴィは姿を見せてくれなかった。

常緑広葉樹林帯(ディオダール・カルスー)モチ木科の中を進み、
シダが生い茂る中に大きな牛が苦し紛れにのた打ち回っていた、
ガイドに言わせると、「何か毒草を食べたのだろう」との事だった。

かわいいそうだが、後ろ髪引かれる思いで先に進んだ。
今日は広々としたブギャルから始まり、
道沿いには花々が豊富で目を楽しませてくれた。

そして樹林帯を上り下りして非常に変化に富んだコースだった。
ガイルガース(Gailgarth)谷底という樹林帯の中で、
幕営の準備をしていたら農夫二人が山から下りてきた。

ヤギの群れ
ヤギの群れ

何か小さな牛蒡(ごぼう)のような物を見せ、キラ・ジャリという薬草だという。
4000mほどの高所に雪解けと同時に芽を出す。

 

バイアグラのような強壮剤の原料になるそうで、
中国からの密輸価格は高値の1本700円で買い取ってくれるそうで、
1本で半年くらい生計が立つらしい。

 

彼らが去り夕暮れも迫ったころ、雲行きが怪しくなり夕立になった。
今日は好きな焚き火も出来ず、ナンとカレーで夕食を済ませ、
雨も降ってきたのでテントで早めに寝ることにした。

 

翌朝に目を覚ますと、朝日が木々の間に差し込み、すかさず藪漕して高見に登ったが、
朝霧の動きが早く残念ながらヒマラヤの山々は望むことが出来なかった。

 

朝食後、予定の変更があり,明日の幕営地のオーバートポバン(Over Tapovan)に
水がなく今晩幕営するクララ(Khulara)に連泊すると告げられる。

 

出発して雲霧林を抜け、多少岩の出た稜線を進んだが、ガスが沸いて展望は得られない。
しかし、路傍の草地には亜高山性の花がみごとな群落をつくっている。

 

高度計は標高3500mを示す、写真を撮っているとかなり寒いのでセーターを引っ掛ける。
今迄になかった急峻なガレ場をやり過ごし、白やピンクの高木石楠花(シャクナゲ)
「ブランス」の潅木帯に入り、しばらく登ると景色は変わり今までの常緑の広葉樹は
姿を消し針葉樹林に入り、やがて広い鞍部に出た。

 

高木石楠花(シャクナゲ)

ここから崖を巻くように進むと、
ナナカマド「グジンクジュ」の潅木帯の中で、ガサガサと異様な音がする。
ハッと立ち止まり目を凝らすと、なんと十数匹のサルが枝から枝へ移動していた。
顔は黒く頭から首は白い毛で覆われ、
尾が非常に長いのでインドやセイロンに生息するハヌマンラングールであると思った。

 

森林限界を抜け再びブギッルが広がり、
遥か数km先にはパオ(モンゴルの住い)に似たテントも見られ、
伸びやかな高原のプロムナードである。

 


道なりならクアリ峠へ至るが、石井さんが遅れているので心配になる。
岩がゴロゴロした露岩地帯をショートカットしてテント場のクララに到着。
近くの前景は針葉樹林で、姿は樅に似た喬木(たかぎ)が隙間なく高地を飾っており、
なかなか見られない光景である。

 

 

夕暮れ迫る頃には雲行きが怪しくなり、早めの夕食を済ませテントに入る。
夜半は大雨となりサブガイド達が、我々のテントに水が浸入しないように、
周りに溝を掘ってくれた心尽くしには敬服した。

 

 

翌日も天候は高曇りだったが、いよいよ待望のクアリ峠に向かう。
クララから約5km、標高差1400mの登りである。
出発して間もなく石井さんがテントに残ると言い出し、
昨日も遅れ気味だったのでお疲れの様子だった。

 

残念だったが先に進む事にした。道は石を敷き詰めた歩き易く、
良く整備された広い道だった。

 

一旦上り切ると分岐があり、先はクアリ峠からインド平原に至り、
右は昨日登ってきたアウリ高原方面で、
下は明日下山するトポバンに至る三叉路であった。

 

そこには石積みされたヒンドゥーの祠(ガネッシュ)があり、
中に真新しい草花と錆びた剣が供えられていて、
日本の山岳でも見かけるケルンの下に祠がある光景だった。

ヒンドゥーの祠(ガネッシュ)
ヒンドゥーの祠(ガネッシュ)
ヒンドゥーの祠(ガネッシュ)2

 

 

目の前を数百頭の大群の山羊が横切って圧倒された。
後ろからは婦女子供が大勢で軽快な足取りで登って行く、
ザックも持たずに30cmほどの棒切れを各人持っているだけだ。

 

森林限界を越えた。路傍には花々が咲き誇り、
ピンクのハクサンチドリに似た群落が目を楽しませてくれる。 

ピンクのハクサンチドリ
ピンクのハクサンチドリ

 

果てしなく続くブギャルの尾根上を緩く登って行くと、
黒ビニールで覆われた飯場が現れ、二人の人夫が長い丸太を担いで出てきた。
行く手では土砂崩れの改修工事中で、ここでも重機はなく手作業で橋を架ける基礎を造っていた。

 

これまでの人生で初めて富士山より高い場所で息苦しい。
やっとの思いで下から見上げると岩峰が突き出た頂が見えてきた。
既に田中さん・鈴木さんは到着していて手を振っているのが見える。

 

その先に広がる未だ見ぬ遠い世界はあと少しだ。
足元ではベニハシガラス(胸の羽が赤い)が二羽飛び去りびっくりした。
やっと息を切らしながらクアリ峠に辿り着いた。
高度4268mで今までに経験した事のない最高地点に到達して感無量である。

最高点 クアリ峠(4268m)鈴木さん・田中さん
最高点 クアリ峠(4268m)で記念撮影

山頂では目が眩むような狭い岩棚で数頭の山羊が、
飛び跳ねているのに勇気つけられる。

残念ながら展望は高曇りで得られなかった。
本来ならナンダ。デヴィ(Nanda Devi 7817m)(1951年フランス登山隊長のロジェ・デュプラが
もしか或日、私が山で死んだら」という詩で日本でも山仲間のあいだでよく知られる)はじめ、
カメット峰を盟主とした、西ヒマラヤの山々が眺望できる筈だったが、しばし待つことにした。

 

大勢の村人達が登って来ていて、みんなで斜面にへばり付き何かを探している。
彼らに尋ねると一昨日に農夫から聞いたキラ・ジャリを、
一家総出で山麓のチャニーから採りに来ているとの事だった。

 

これで山頂の賑わいと棒切れを持っていた訳がわかった。晴れるまで、
彼らと一緒にキラ・ジャリ採りに熱中したが、
小さな芽吹きを探すのは大変で、私と田中さんが各1本で、
彼らも余り取れなかったようだった。しばし待ったが結局 
天は我々に晴れという恵みを与えず一抹の望みを断ち切られ去る事にした。

 

下山はルンルン気分で登りの三分の一の時間でテント場に着く。
村人達も言葉は通じないがテント場に立ち寄り、
特に子供たちは、我々が珍しいのか何人もニコニコやってきたので写真を撮ってやった。

 

近くには朝方は無かったテントがあり、行って見ると羊飼いが羊にやる岩塩を石臼で砕いていた。
彼のテントは原始的な三角ツエルトで、両端に棒を立てシートで覆った簡素なものだった。
とても寝起きできるような状態ではなかったが、そのような環境で何日も山中で暮らす人を見て、
人間の潜在的な力と強靭な精神の上にさらに、慈しみが溢れているのを感じた。

 

その晩は今回のメンバーで最後の晩餐で、豊富にある焚き木でキャンプファイヤーを囲み、
ガイドが下のチャニーから仕入れてきた強い酒(ロキシーという蒸留酒)を飲み交わし、
歌い(私は日本民謡を代表する素朴な「刈り干し切り歌」を披露)踊り、
夜の更けるのも忘れ楽しんだ。(私は高度障害か頭痛がするので一足先にやすむ)

キャンプファイヤー
キャンプファイヤー

異人にも言葉が通じなくても気心が知れた、すてきな連中と交歓できこの上ない喜びであった。

 

夜半、ふと目が覚め、ヘッドランプを点け小用に行く、本当に真っ暗闇で静寂の世界だ。
空を仰げば満点の星空で、こんなにたくさんの星があるものかと再認識した。
あしたは晴れだろうと気が高ぶる。

 

さて、翌朝に石井さんが先に起き出し山が見えるという。
後に続いてテントを飛び出たが、昨夜の晴天は何処へやら、朝靄が湧き出していた。


それでも前方の山々を覆っていた雲が動き出し、
雪のあまり無い岩峰の八ヶ岳に似た無名峰が現れ、
その奥には方向的にはナンダ・デビィかナンダ・コートの純白な穂先がチョコンと見えた。
清々しい朝だが大きな雲の流れは絶え間なく湧き出し、
上昇しその切れ間の一瞬一瞬がシャッターチャンスであった。

貴重なシャッターチャンス
貴重なシャッターチャンス

異様な形をしたハチパルバット、ゴリパルバットの連山が望まれたかと思うと、
次々に奥山が姿を現しカク・ブサンディー、バルマイ、ニリギリ・パルバット、
(あした訪れる花の谷の奥に聳える山)そして目を転じれば7000m級の山々。

カク・ブサンディー、バルマイ、ニリギリ・パルバット、


カメット、とマナピーク、そして少し離れた左には「世界で一番美しい山」と讃えられ、
均整の取れた鋭峰のニルカンタ。西ヒマラヤ一の秀麗な姿を誇る名峰を眺望することが出来た。
しかし、この大展望は長くは続かず、数十分後にはまた雲に閉ざされた。
私たちは充分に堪能して下山にかかった。

カメット・マナピーク・ニルカンタ

予定を変更し、ここクララで連泊した事によって、素晴らしい西ヒマラヤの山々が眺望できたので結果オーライ。


ブログランキングに参加中!
あなたの投票お待ちしてます♪

OMITSU
OMITSU


管理人から令和のこそこそ噂話★
7月17日は「理学療法の日」です!

日本理学療法士協会が制定。
1966年のこの日、110名の理学療法士により
日本理学療法士協会が結成された。
~今日は何の日から引用~
ここのところ首を痛めてしまい、
リハビリに通っています。
理学療法士の方に色々とストレッチなどを
教えてもらって自宅でも実践しています。
パソコンに向かう時間が明らかに長くなっているので、
適宜ストレッチが需要みたいですね~

それでは、Buona Notte♪

Tamo24
Tamo24

 

 
当ブログで使用しているWPのテーマはTHE THORです。あなたも仲間入りしませんか?
・圧倒的にSEOに強い
・上位検索されやすい上に集客にも拘っている
・“デザイン着せ替え機能”が9種類もある
・ワンクリックでプロのデザイナーサイトが作成可能。

 

当ブログで使用しているドメインはお名前ドットコムです。
・ドメイン新規取得が1円~
・レンタルサーバー同時申し込みでドメインがずっと無料!
・サポートも日本語で安心!!
貴重なシャッターチャンス
最新情報をチェックしよう!