インド|初めての海外登山ヒマラヤへ⑥


更新日:令和3年7月22日|初めてのインド「ヒマヤラ紀行」を数回に分けてご紹介いたします。今回はゴビンダガード → 憧憬の「花の谷」→ ルドラプラヤグ編となります。大伽藍のシーク教寺院も見られ、花の谷ではアメリカ人の観光客との出会いもありました。インドの花名はわかりませんが、色彩が良くとても綺麗で目の保養になる山旅となっております。


ガルワールヒマラヤ紀行⑥ 

◆都市:インド:ガルワールヒマラヤ紀行
◆登山日:2008年6月4日~19日
◆同行者=石井さん・田中さん・鈴木さん

ゴビンダガード → 憧憬の「花の谷」→ ルドラプラヤグ

各自大型ザックを担ぎ、ビュンダール川の畔へ、
ショートカットしてテントから溢れ出ている巡礼者をかき分け、
糠って滑る急坂を降り土産物街を抜け、シーク教寺院(グルドワラ)の前に出た。

 

ここゴビンダガートはトレッキングで花の谷へ向かうトレッカーと、
シーク教徒の聖地、ヘムクンドを目指す巡礼者の出発地点の門前町で、
大伽藍のシーク教寺院の前はターバン姿のシーク教徒大きなお盆のような金ぴかの器に、
カラフルな果物を堆く載せ歩き売りやら、また大勢の馬子や背負籠屋から客引きも煩いほど声が掛かる。
俺たちは、こんな電気も通じてない山奥で生活が掛かっていると言う実感がこもっていた。

大伽藍のシーク教寺院
大伽藍のシーク教寺院

ここからがサンクチャリ聖域(登山界では内院)で、
我々の3人のザックを宿のあるガンガリアまで、
13kmの山道を標高差1220m運んでもらう。
交渉して一人のポーターにお願いした。

 

何と3人のザックの総重量60km以上は有るだろうに、
大きな竹で編んだ籠に詰め込み、休憩するときに尻にあてがう棒を持ち担ぎ上げた。

かなり重たそうで、こんな苦労をさせるのなら車に不要不急のもの以外は置いてくればよかったと反省した。
我々も子供のころには、この様な情景に接していた。
そう思うと文明というのは、肉体の退化の歴史のことでもあるようで、複雑な思いにとらわれた次第。

 

サブザックだけで身軽になって橋を渡って振り返れば、
寺院、6~9階建ての宿泊施設と堰が造って有り、沐浴場に多くの信者が見える。

 

下を流れる川は氷河によって侵食された岩粉が混じっていて、
グレイシャーミルクといわれる独特の色で轟音を響かせていた。
整備された石畳の巡礼道を登って行く。

 

ポーターは先だが、身体は大きな荷物にすっぽり隠れてしまい足しか見えない。
さすがに重そうでジグザグに歩を進めていた。
下の山村を過ぎる頃、頭上には三段の大滝が見えた。

 

登山路の途上には、数㌔毎に茶店( バッティ)やマッサージ店があり、
紅茶(チャイ)や豆スープ(ダール)などが飲めるが、
私は1杯30円のチャイで喉を潤した。

売店ではペットボトルに入った飲料水・お菓子・
ビニールカッパなど売っているので手ぶらでも登れる。

 

巡礼者は徒歩が一番多い、ロバや馬に跨って、また籠に背おわれている子供や、
数は少ないが人夫が4人で担ぐ鋤簾(じょれん)に担がれている老信者もいて、延々と続いている。

 

下りの人は老人から子供まで、憧れの聖地巡礼を無事に終えた達成感で精神が昂揚している、
登りの人々に親近感を示すため飴や砂糖・飲物などを恵んでくれていた。

私も遠慮なく飴を頂戴した。つづれ折の道で高度を稼ぎながら登る。
このような行程でいつの間にか、疲れも忘れ楽しい登山だった。

 

ガンガリア(Gnagria){標高3040m}到着は、
朝のロスタイムがあったが明るい内にホテル(HOTEL KUBER)に入る事が出来た。

 

ガンガリアはシーク教のヘムクンドへ向かう巡礼者の登山中間地点にあり、
周囲には巡礼者用の真新しい無料テントが数多く設置されていた。

ホテルはシーク教寺院グルドワラの正面にあり、
寺院のスピーカーから流れ出す司祭が唱えるマントラ(真言)が響き渡り、
空を見上げれば張り巡らされた夥しい数のヒラヒラがパタパタと音を立て、
その音を掻き消すかのように境内は信者で溢れかえっていた。

 

ホテルの一階は大食堂となっていて、看板に「スーパーデラックスルーム」と
書かれた二階の部屋に案内される。中はかび臭くジメジメしていて、
そのうえシャワーもトイレットペーパーも供えてない。

特等部屋という大変ユニークなゲストハウスで、
二階から辺りを見廻すと地形的にV字谷の北斜面にあり、
日が差し込む位置に無い事と、日本で言う霊山の山小屋であるという事で理解できた。

 

しかし電気も通じず、車も全く来る事が出来ない山深いガンガリアに、
これだけ大きな建物群が存在しているのに驚いた。インドのことだから、
全て人力の手作業で気長に造ったことだろう。

 

シーク教徒はインド人口の僅かに2%と言われているが、
総人口が大きいため2%でも2400万人になる。
その信者がこの季節に、わんさか老若男女が聖地ヘムクンド・サヒーブに行けるという喜びに満ち溢れていた。

夕刻一時的な氷雨が降ったが、シーク信者の女の子達は雨が降っているのに裸足で歩いていた。
「ここに来られたのも神の思召し」と言って、カメラを向けると笑顔で撮らせてくれた。
自家発電のため9時半には消灯でこの日も早く寝た。

 

早朝の4時半からのシーク教徒のお祈り合唱やら鐘が鳴り、目が覚めると同時に空を仰ぐ、
相変わらず雲の動きは早い、むき出しになった黒い岩崖の先には、
これから訪れる花の谷の奥に聳える、ニリギリ・パルバットの前衛の山が雲の合間に一瞬見え隠れした。
きのうは夕方から氷雨が辺りの木々を震わせ、山稜は細雪だったため景色は変わっていた。

谷

その先に広がる、まだ見ぬ遠い「花の谷」(Vally of Floweres)へ心が惹かれる。
緩やかに整備された石畳を巡礼者たちに混じって行く。
途中にこの地において、珍しい十字架の碑が「愛のメモリー」、
「1885/FEBに遭難したカメットに眠るJOAN・MARGARET・LEGGE」へ祈るとしてあった。

 

晴れていれば、ここからチベットの国境付近に聳え立つカメット(Kamet Mana)7756mが望む事が出来るのだろう。
ここの高度が3100m位で、川を挟んだ反対側のジグザグの路に巡礼者が延々と続いているのが見える。
やがてブーイ ヤンダー(bhuiy Yndar)という、ヘムクンド湖と「花の谷」への分岐である。

 

山々
山々

「ヘムクンド湖」は自身も含め一族が全て殺された、
悲劇のシーク教10代教主ゴビンダの前世が瞑想したことでシーク教の一大聖地になっている。

 

第一の聖地がゴールデンテンプルで、第二がヘムクンドである。
ヘムクンドへの道を右に分け、我々は花の谷へ向かう。ここでも検問所で検閲された。

(入山料は支払ったかメモして無い)ナショナルパークである事と世界遺産に登録されている為。
標高は3560m~3920mで全体地図や氷河の場所や花の種類そして規則と
罰則が英語とヒンズー語で書かれた赤緑の看板が目立った。 

ここからやっと1秒たりとも人間を目にしなく成った。秘境への静かな山旅の始まりで、
花の谷”は、もう手の届く所にある。路肩には名も知らぬ花々が見られるように成った。

困ったことにトイレは失礼して爽やかな“青空”トイレで済ました。
シダの生い茂る樹林帯を抜けると、ガレ場があり近くには雪渓が目に飛び込んでくる。

 

日本の植物に似たトウダイグサやウスユキソウなど高山植物も現れ、
川は所々の断崖から落ちる滝を集め、侵食しながら蛇行し轟音を轟かせ下っている。

 

高山の岩肌は褶曲と隆起が繰り返されたように現れていた。
二ヶ所ほど雪渓を越してやがて小橋を渡ると、そこが「花の谷」の入口だった。

 

はやる気持を抑えながら、花の谷へと入っていく、
明らかにゴツゴツとしたモレーン(氷河の末端にできた堆積)が現れた。
期待を膨らませて待望の開けた「花の谷」であった。

花々
花の谷の花々

私はここU字谷の真ん中で花の写真撮りをするため残った。
サブガイドのラベンドーラーと田中・鈴木の両氏は、もっと先まで行って見ると出かけた。
(末尾に田中さんの状況を転記す)

刻々と情景を変えていく山稜や草原は見ていて飽きない。
花は日本の高山にある、ムラサキ・シオガマ・オンダテ・ギンラン・
リンドウ・チドリ・アヤメ・チョウジ・キンバイ・トラノオ・ヤナギラン・
ツリフネソウ・フウロウ等の仲間で、まさに百花繚乱。
名前は現在調査中(インパチェンス・グランドゥリフェラ、ハッケリア・ウンキナタ、エビロビウム・スキオスム)である。

紫の花
紫の花

 

青い花
青い花
白い花
白い花

 

イギリスの登山家F・スマイスは初めてこの地を訪れた際、
花の種類やその美しさに感謝し、今までビュンダール谷ほど美しい谷を見たことが無い。
のちに「花の谷」と名づけた思い出の地であると、その著書[The Valley of Flowers]で語っている。

購入した写真(ピンクの花)
購入した写真(ピンクの花)

 

購入した写真(黄色い花)
購入した写真(黄色い花)

花に熱中していると、「ハロー」と女性に声を掛けられる。
驚いて立ち上がると外国人のお婆さんだった。孫と一緒に杖を付いて登って来た。
国籍はアメリカで年は77歳で現在ニューデリーに在住と言っていた。

 

「ブルーポピー(学名 メコノプシス・アクレアータ)が観たい」と言って折角老体にムチ打って登って来たのに。
後にガイドの話だと未だ時期がちょっと早かったようである。
お婆さんと二人で記念写真を撮ってもらった。
しかし 私にとって花の谷の印象は強烈で満ち足りた思いで、いつまでも消えないだろう。

アメリカ人老婆と花の谷にて
アメリカ人老婆と花の谷にて

それにしても自然世界遺産なのに良く入山できたものだと思う。
日本の白神山地の核心ゾーンは入山出来ない。「花の谷」も現在、遊歩道の整備をしていた。
何れ遊歩道だけで草原には一歩も入れなくするだろう。

いい時に来られた、旅の疲れが霧散する心地がする。
岩の上に腰掛け、花の匂いに包まれ皆が戻るのを待った。皆で昼食の後に下山に掛かる。

 

下山もブルーポピーを探しながら、幾度となく足を止め、花々との別れを惜しんで分岐まで戻る。
相変わらずヘムクンドからの道は信者の列が続いていた。
もう登る人はいない。下ってくる人々の手には、見慣れない花が握りしめられている。
シーク教のシンボルマークにもなっているサウスレアだ。賑やかに成った道を足早にホテルに辿り着く。

まだ時間が早いので町を散策する。
ホテルの隣にHIM-TREKという登山ガイドの看板が有ったので入ってみる。
年季の入ったヒッコリーの山スキーの板が飾ってあって目を引いた。

観光客相手の小さな店舗であるが、花の谷の写真・土産物・サリーなどを販売する傍ら。
トレッキングガイドも兼ねていた。名はRajnish.s.Chauhanさんで、
登山家・冒険家であり、この辺りの無名峰は殆んど踏破している様子だった。

ガイドは日本の西遊旅行のフラワーガイドを引き受けていると言っていた。
その上に写真家で、私たちも晴れ渡った花の谷の写真を数枚買い求めた。

Ⅴ字谷は日の落ちるのも早い、街を一通り見てモミの巨木を写真に収め、
ホテルに戻って、カレー尽くしの夕食を食べ、湿った布団にシェラフを入れ潜って眠りについた。

カレー尽くしの夕食
カレー尽くしの夕食

今日も天気が朝靄なのと、信者が祈る読経に変わりは無い。朝食後ホテルを後にする。
やっとの思いで湿気から開放され、すがすがしい気分で下山する。
周りの山肌は岩雪崩や岩崩れの痕が見られ、遭遇しなくて良かったと思う。

途中に見えた三段の滝のある集落に下りてみることにした。
周りには段々畑も広がるが、少ない平地には田畑もある。

農道と言うか畦道というか、細い道の畑の周りには、石垣が積んであって、
そのうえに獣避けか棘の有る木(ジャケツイバラ)が植えてあり、
これが何処までも続いていた。お陰で腕から腿まで害虫に喰われた様に痛いこと甚だしかった。
畑は緑濃かったが、何が植えてあるか確認し忘れた。

 

集落に入り屋敷の中のような路地を歩く。殆どが横長の二階家で、
一階は家畜用で外階段を登って二階が住居となっている。

屋根はスレートやトタンで、周囲を石積みや簡易ブロックで囲われていた。

村の外れに集会所みたいな建物があり興味本位で覗いて見ると、
天井から真鍮の鐘が吊るしてあった。周りには大麻草が生い茂っていた。
わが国ならお縄頂戴に!なる。電柱は有るが途中で電線が切れていた。

 

しばらく急坂を下りて行くと、ゴンビンダガートのビル群が見えてきた。
沐浴場が眺められる所に、大きなフライパンにダッコチャンに似た人形が置いてあり、
中には水と賽銭が沢山供えられていた、下山祝に何ルピーか供える。

ザックを背負ってくれたポーターの到着が遅い、
それはそうだろう重量過多だから、しばし待ってから到着した。

 

迎えに来られた観光組の石井さん等と合流して、
一路今夜の宿の有るルドラプラヤグまで約140kの山岳悪路を走り、
度々渋滞に巻き込まれながらも、無事にルドラプラヤグ(Rudraprayag)のホテルに到着。

 

ホテルは増築中で多くの労働者が砂利袋を頭に載せ数百m先の現場まで運んでいる姿を目にして、
何故ユンボなり一輪車を使用しないか不思議だったが、
発展途上で人力に任せているのだろう。周りには街といえるようなものは見当たらない。

 

人々3
ホテル付近に到着

ホテルの部屋は広々でダブルベット二台、トイレにシャワー室、
相変わらず手桶で掛ける風呂、トイレットペーパー・アミニティー類など勿論ない。

簡単にインドカレーで食事をして休む。

 

★次回が最終章です。

 

 


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OMITSU
OMITSU


管理人から令和のこそこそ噂話★
7月22日は「海の日(2021年)」です!

2020年は、東京オリンピック開会式の前日の7月22日に変更される。
~今日は何の日から引用~

私は昨日コロナワクチン接種1回目でした。
副反応は腕が少し痛いくらいで済みました!
いよいよ明日はオリンピックの開会式ですね~
女子ソフトボールは幸先よく2連勝ですし、
女子サッカーも引き分けでしたし。
自宅で東京五輪を存分に愉しみたいと思います♪

それでは、Buona Notte♪

Tamo24
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